健康や長寿を願う「重陽の節句」の巻
日本には、春夏秋冬それぞれの季節を彩る節句があり、伝統的な行事として親しまれてきました。3月3日の「桃の節句」や5月5日の「端午の節句」は広く知られていますが、9月9日の「重陽の節句」は、その存在を知る人が少なくなっているかもしれません。
平安時代の初めに中国から伝わった重陽の節句は、「菊の節句」や「栗の節句」とも呼ばれ、日本の五節句の一つとして長寿や無病息災、子孫繁栄を願う日として親しまれてきました。現代では祝われることが少なくなくなりつつありますが、その深い願いとともに私たちに自然の恵みと共に生きることの大切さを教えてくれる日です。この節句を祝い秋の訪れを感じながら家族と共に行事食を楽しむのは、古き良き風習を現代に蘇らせる素晴らしい機会となるでしょう。
重陽の節句には行事食として菊酒を飲み、栗ごはんを食べるという風習があります。菊酒とは、蒸した菊の花びらを容器に入れ、冷酒を注ぎ、一晩ねかせて香りを移したお酒です。このお酒は古来より菊を眺めながら飲むことで、長寿が約束されると信じられてきました。科学的な根拠は定かではありませんが、盃に菊の花びらを散らして飲むだけでも風流ですから秋の深まりを感じながら楽しんでみたいところです。
また、「栗の節句」としても知られるこの日は栗ごはんを食べることが一般的です。栗の収穫時期と重なることから、江戸時代には庶民の間で広く楽しまれていたようです。現代でも栗ごはんは秋の味覚として人気のメニューでありシーズン中に一度は味わいたいものですが、重陽の節句にご家庭で作ってみてはいかがでしょうか。
栗ごはんをより美味しく仕上げるためには、3対1くらいの割合で白米にもち米を加えると、もっちりとした食感が楽しめるご飯になります。また、普段とひと味違うご飯を炊きたいときには昆布だしを加えて炊飯するのがおすすめです。炊く際に昆布を加えると旨味と風味が格段にアップします。昆布がない場合には昆布茶や塩昆布を使っても美味しくできますが、塩昆布を使用する場合は塩の量を少し控えめにすることを忘れないでください。そして、炊飯の際に少量のお酒を加えると味がぐっと引き締まり、一層美味しく仕上がります。
舞昆のこうはらでは、道南産のだし昆布や簡単に使えて美味しい「旨だし」をご用意しております。「旨だし」は、不織布のパックに入った便利で使いやすいお出しですから、炊き込みご飯やお吸い物などに幅広く活用していただけます。また、お土産としても人気がある肉厚の角切り塩昆布も取り扱っておりますので、塩加減だけ気を付ければ、だし昆布の代わりに加えて炊いても良いでしょう。栗と昆布の相性は本当に良くて絶品の栗ご飯が味わえます。ご家族の皆様にも喜んでいただける一品になることは間違いありません。
重陽の節句は今ではあまり祝われなくなったかもしれませんが、家族の健康や長寿を願う大切な行事です。ぜひ、この機会に「旨だし」や塩昆布を隠し味に活用して普段とはひと味違うお祝いの食卓を演出し、ご家族で美味しい行事食を楽しみながら、長寿と繁栄を祈ってみてはいかがでしょうか。