昭和100年と「舞昆」
4月29日は「昭和の日」。かつての天皇誕生日として親しまれ、現在では「激動の時代を顧み、国の将来に思いをいたす日」として、カレンダーにその名をとどめています。今年は特に「昭和100年」という節目の年。元号としての昭和はすでに終わって久しいですが、人々の記憶の中では、昭和という時代の香りや味、空気感はいまも色濃く残っています。
「あの頃はよかったなあ」「昭和の味が忘れられへん」――お客様からそんな声を聞くことも少なくありません。私たち「舞昆のこうはら」も、まさに昭和の時代に歩みを始めた昆布屋です。創業当時は、炊き立ての白ご飯に合う“おかず昆布”を手間ひまかけて作ることからスタートしました。佃煮の甘辛い香りが炊き立てのご飯に絡む、あの「ごはんが止まらない味」。それは、忙しく働くお父さんや、育ち盛りの子どもたちに、手早く、でもしっかりとした栄養を届けたいという家庭の知恵でもありました。昭和は、戦後の混乱を乗り越え、高度経済成長に沸いた時代。町には活気があり、商店街では近所のおばちゃんの声が飛び交い、食卓にはおふくろの味がありました。そんな「暮らしの中の温もり」を大事に伝えていきたいと思っています。

時代が令和へと移り変わり、食生活も大きく様変わりしました。便利さやスピードが求められる一方で、「身体にやさしい」「素材にこだわる」といった新たな価値観も広がっています。そんな現代だからこそ、私たち「舞昆のこうはら」は、昭和の知恵と技を受け継ぎながらも、時代に合わせた商品開発に挑み続けています。
塩昆布風発酵食品「舞昆」は、昆布をじっくり発酵させ、旨味と栄養価を引き出した一品。発酵の力を活かしたこの商品は、腸活や健康志向の若い世代にもご好評いただいています。昭和の味をそのままに、令和のニーズにも応える―「新しい懐かしさ」をお伝えできれば幸いです。

春といえば、出会いと旅立ち、そして旬の恵みが食卓を彩る季節。舞昆のこうはらでは、今年も春限定の味覚をご用意しています。国産竹の子を柔らかく炊き上げて濃厚な舞昆の昆布と合わせた「竹の子舞昆」や、ふっくら柔らかちりめんに梅の酸味が加わって春を感じる味わいに仕上げた「梅入りちりめん」など、この時期にしか味わえない商品がそろいました。季節の贈り物としても喜ばれております。
昭和の日に、昭和の味を思い出す――「舞昆のこうはら」は、これからも皆さまの笑顔と健康のそばに寄り添い続けてまいります。