十五夜「お餅やお団子と舞昆って実は合うんです」の巻
古来、日本には月を愛でる文化が根付いており、「中秋の名月」を観賞する十五夜の行事は、豊作への感謝を表す大切な風習として伝えられてきました。平安時代に中国から伝わり、当時の貴族たちは宴を催し、詩歌や音楽を楽しみながら月を眺めるという優雅な時を過ごしていたそうです。ドラマでも紫式部や藤原道長が月を見上げるシーンがしばしば描かれ、月が持つ神秘的な魅力や安らぎが多くの人々を引き付けてきたことが窺えます。
時が移り江戸時代になると庶民の間でもお月見の風習が広まり、稲の収穫や秋の実りへの感謝を込めた収穫祭としての意味合いが強いものになりました。この伝統は今も続いており、各地でそれぞれ特徴のある楽しみ方をされています。十五夜の日は旧暦8月15日の月を指すため毎年変わりますが、今年は9月17日が十五夜にあたります。月が最も美しいとされるこの日に、月見団子やススキ、栗、里芋などを供え、豊かな実りに感謝を捧げる行事を楽しみましょう。
月見団子を供えることは、お月見の習慣の一つとして広く知られていますが、白玉粉があれば自宅でも簡単にお団子が作れますのでオリジナルのものを作ってみてはいかがでしょうか。白玉粉はもち米の粉ですが、粉と同量の水を少しずつ加えてよくこねて丸め、たっぷりのお湯で茹でます。鍋に入れて団子が浮き上がってきたらさらに2~3分茹でて、冷水にとり、水を替えながら冷やしてください。これでもっちりした食感の白玉団子の出来上がりです。
出来たお団子はシンプルに砂糖ときな粉をまぶして食べてもよいのですが、まだ暑さが残るこの時期には、甘いあんこやアイスクリームとともに冷やしぜんざいとして味わうのも一興です。あんこの代わりに小豆系のアイスバーを砕いて盛り合わせても美味しく召し上がっていただけます。
さらに美味しく食べるポイントは、「甘いもの」に塩昆布を添えることです。塩昆布は口直しとしての役割を果たすだけでなく甘味を一層引き立てますが、一方では甘味が塩昆布の塩味と旨味を引き立てるという相乗効果があります。これは「味の対比効果」と呼ばれるもので、異なる味を組み合わせることで互いの味わいが強調される現象です。例えば、スイカに塩をふって食べると甘味が増すように感じられるのもこの現象ですが、先人の知恵には本当に感心させられます。
舞昆のこうはらでは、細切りの塩昆布や肉厚の角切りの塩昆布を取り揃えています。すっきりした旨味の柔らかい塩昆布で、「お団子やお餅、和菓子にもとてもよく合う。」と高い評価をいただいてきました。また、甘味と塩昆布を交互に食べると、甘いものが少量でも満足感を得られ食べ過ぎを防げるので、健康にも美容にもよいと考えられています。
今度の十五夜にはオリジナルの月見団子を用意し、お好みの塩昆布を添えて楽しんではいかがでしょうか。秋の収穫を祝いながら、月光を浴びて甘味と塩味の絶妙なハーモニーを味わうことで、笑顔があふれる素敵なひと時を過ごしていただけるでしょう。